2014-09-15

海と太陽と「巨石」と。


先日、松山で開催された「白石の鼻 巨石群」の講演会に行ってきました。

「巨石」と聞いただけで無条件にワクワクしてしまう私。
松山にそんな巨石があるんだ(!)という驚きと期待感に胸を高鳴らせて、いざ高浜へ。

白石の鼻 巨石群について調べている地元の研究者の話によると、ここの巨石には、春分、秋分、夏至、冬至の前後数日間それぞれの石のわずかな隙間に太陽の光が見事に差し込むんだとか。まさしく古代の太陽観測装置です。

じゃあ、いつ頃、誰が、こんな巨大な石をどうやって―?
勝手な妄想がどんどん先走っていくのを抑えながら、参加者みんなで現地へ。やっぱり「百聞は一見にしかず」です。

高浜6丁目のこの場所は、岬のような地形になっていて緩やかなカーブを曲がり切ると、目前に海に浮かぶようにして立つ巨石が見えます。ひょこっと突き出したこの岬が「白石の鼻」と呼ばれているんですね。


その岸壁には、「白石龍神社」がありました。地元の人からは「りゅうごんさん」と呼ばれるそうです。
ここには、岩に腰かけ両手に水玉のようなものを持つ木神像が祀られていました。五穀豊穣や漁業を祈願する海神なのでしょう。


岸壁から数十メートルのところにある巨石は、遠くから見ても重心を考慮しながら人工的に作られたように見えました。どう見ても「積み上げられて」います。

でも地元では自然の風化でできた巨石として代々言い伝えられてきたため、この人工説が発表された2008年には「誰もが笑った」のだとか。確かに、古くからの言い伝えを覆すことは先人を否定することになりますから、そう簡単なことではないのかもしれませんね。


夕方の17時半を過ぎると太陽が沈みはじめ、夕日もいよいよクライマックスに。
巨石の中央の穴が鮮やかなオレンジ色に輝き、そこから少しずつ光の線が海面に映しだされます。

春分・秋分の日には巨石のちょうど真後ろに夕日が沈み、中央の穴にあるわずかな隙間に陽が差して、海面に美しい光の線が見えるそうです。この日は秋分の少し前でしたが、それでも充分過ぎるくらい美しかったです。ゆっくりと心が洗われていくというか、満たされていくというか―。


海と空と太陽と島、そして巨石。
とてつもない神秘的な光景に圧倒されながら、こんな美しいものをつくり出してくれた古代の人々と自然への敬意で胸がいっぱいになりました。

そして、この巨石をカレンダー代わりにして日を数えていた先人たちはどんな人たちだったのだろう―。どういう暮らしをしていたのだろう―。どうやってこれをつくったのだろう―と、私の興味はより一層強くなっていくのでした。
謎が解明されていないからこそ、無限に膨らんでいく想像は楽しくて仕方ありません。


時を越えて「古代」と「今」が瞬時にして繋がれるとっても特別な「場所」、これからも大切にしていきたいです。


色々と教えてくださった地域の方々、そして松山・白石の鼻巨石群調査委員会の皆さま、本当にありがとうございました。この巨石群、私も自然風化ではなく人の手によるものだと思います。