2014-09-26

古布との出会い


古布との出会いは一期一会、そんな楽しさを教えてくれるお店が松山にあります。
アンティークの布や骨董を取り扱う「ゆうげん亭」。自宅の一角につくられた店内には色彩豊かな着物や帯、藍染などの布が所狭しと並べられています。


徳島が藍の産地とあって、愛媛では藍染の布が割と安く手に入るのですが、長年布団カバーとして使われていたものが古布として出回っているのでその状態は実にさまざま。

お店によっては、裏面に綿がびっしりとこびりついていたり(これが取るのが大変なのです…)、よく見ると中央部が擦り切れているのも珍しくはありません。

同じ藍染と言っても布の種類や厚み、使用頻度によって風合いが変わってくるのですが、ゆうげん亭ではとても良い状態の藍染と出会うことができます。


オーナーのご主人は筒描き染めの職人さんだそうで、お店を訪れたこの日はこんな美しい古布も見せてくれました。
これは「ゆたん」と呼ばれる嫁入り道具のひとつです。鶴・亀・梅・松など縁起物の絵柄と家紋が描かれています。昔は箪笥などの嫁入り道具を包むものとして使われたんだとか。

愛媛より高知の方が絢爛豪華でダイナミックな絵柄が多いんだそうです。


「筒描き染め」というのは、ケーキの生クリーム絞りのように糊を絞り出しながら柄を描いていく手法のことで、自由に絵柄が描ける分、職人さんの力量やセンス、感性がそのまま柄に表れてくるとても難しい手法です。

この古布から当時の豪華な嫁入り風景が想像でき、嫁入りがいかに一大行事であったかが伝わってきます。


そして海に囲まれた四国ならではのこんなものも。大漁旗です。
意外にも大漁旗は古布として結構出回っているんだそう。


ゆうげん亭は、商店街など街中ではなく民家が並ぶ路地にひっそりとあります。まさしく古布と出会える隠れスポット。当時の人々の暮らしを直に感じることができる古布は一見の価値ありです。


ゆうげん亭
愛媛県松山市石手2丁目5番32号
古布・器・今昔着物など