2015-04-13

愛媛と大根


愛媛に暮らし始めてより強く感じる「大根」の存在。

大根をお供えしたり奉納するしきたりは愛媛に限らず日本各地にありますが、私が実際に見たのはここ「繁多寺」が初めて。


本堂左手の聖天堂に太く立派な大根が積み上げられて奉納されている光景は、衝撃に近いものがありました。

そして、ここ聖天堂の紋も大根です。交差するふたつの「違い大根」。


実は、歓喜天像という(象頭人身をもつ仏教の守護神)が祀ってあるところには、この大根の紋があります。歓喜天の好物が大根だったからという説も。


そして、別の日に砥部焼の窯元を回っていて出会ったのがこのうつわ。
ふたつの「違い大根」。まさしく歓喜天像の紋とうりふたつです。


窯元のおかみさんは、大根が絵柄になっている理由は分からないと言っていましたが、奉納のお皿として使われていたのかもしれません。

この窯元は砥部町に窯を構える「竹山窯」さんで、他にも大根の絵柄のうつわが多数あります。


弧を描きながら太く大きく伸びる様子が、豊作や実りある1年を連想させて縁起が良さそう。和食にもよく合うので普段使いが楽しめそうです。



また、師走のとある日は、松山市にある円光寺で「風呂吹き大根」という行事が行われていました。


ちなみに風呂吹き大根とは、柔らかくゆでた大根に練り味噌などをつけて食べる料理のこと。寒い冬だからこそ、大根のあたたかさがじわーっと身に沁みます。

1年の無事を願って、風呂吹き大根をお接待として出しているお寺は、ここだけではありません。


愛媛は大根がとっても身近に感じられる地域。
そして、大根が人と人、人と文化を繋いでいるような気がします。

今日は風呂吹き大根を作ってみよう。