屋根の両端に、羽のようにちょこんと付けられた棟飾り。
これは「立浪型鳥伏間(たつなみがたとりふすま)」と呼ばれているもの。
波や帆をイメージしています。
瓦に、波や海などの文様が取り入れられているのは、火伏せの願いが込められているからだと思っていました。
でも愛媛に来て、この立浪型鳥伏間を観察し始めてからは、一概にそう言い切れないと思い始めました。
この独特なかたちは火伏せに留まらず、海に対する敬意や感謝、海とともに生きる誇りが込められているような気がしてならないのです。海を崇める信仰心を、ひしひしと感じるのです。
これは今治の民家。
波をイメージしているのでしょうが、雲にも見えるこのかたちが孫悟空のキントウンのよう。穏やかに事を運んでくれそうな印象があります。
こちらは大島の民家。
今治の民家(上の写真)ととても似ていますが、年期が入っているため瓦の風合いに深みがあります。
これは四国中央市の民家。
透かしづくりが、モクモクと湧き立つような軽やかな印象を与えています。
これは内子町の商家。
空に向かって突き立つかたちに勢いがあります。反り上がるフォルムで縁起が良さそう。
そしてこちらは今治の民家。
波に動きがあり、丸みのあるかたちがシャチホコを連想させます。
ちなみに、坪井利弘著の図鑑瓦屋根によると、この立浪型鳥伏間は北陸の若狭地方や、山陰、山陽、四国地方でよく使われているそう。
やっぱり、海にゆかりの深い地域ならではの瓦のようです。
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