2015-06-08
西条のかずら細工
石鎚山の麓に位置し、綺麗な川が流れる愛媛県西条市。
松山からは車で1時間ほどのところにある自然豊かなこの地でつくられているのが「かずら細工」。
先日、かずら細工愛好会の方々にお会いしてきました。
愛好会と言っても、もう20年以上前から活動を続けており、地域の先輩方から学んだ技を大切に継承している経験豊かな方々です。
ツヅラカズラやアケビのツルなどで、カゴやバッグ、鍋敷きなどを編んでいますが、これらの素材はすべて地元の山(石鎚山)の麓で採れたもの。
かずらを山に採りに行き、それを編める状態にする下準備が、制作の中でも最も大変な作業だそう。
山から採ってきたかずらは、くるくると輪にして先ず茹でます。茹でることで殺菌・洗浄効果があるのだとか。
茹で終わったら、次は乾燥。しっかりと乾燥させるため、何か月も干して油分を抜きます。
気が遠くなるほど時間のかかる工程ですが、これが強くて長持ちする素材をつくる秘訣だそう。
編む時は水などに浸して(柔らかくして)作業をしますが、自然のツタには節やクセなどうねりがあるもの。
でも、「そのクセとか曲がりなどを活かして形をつくっていくのが楽しいの」。愛好会メンバーの井上さん(写真:バッグ製作者)は、かずら細工の楽しさについてそう教えてくれました。
よく見ると、作られた作品には、ひとつとして同じかたちがありません。
同規格、同素材の既製品に慣れ、同じであることを当然のことのように受けとめてしまいがちな今日ですが、自然界においてそれは有り得ないこと。
「違う」ということが前提にあって始まっていくものづくりの尊さを、作品や井上さんのお話から改めて気付かされました。
作品に表れる優しいぬくもりは、自然に寄り添った証しなのかもしれませんね。