2015-01-16

本当に紙のまちだった、四国中央!


愛媛には、手すき和紙をつくる地域が県内に4つあります。

鬼北町でつくられている厚い和紙「泉貨紙」については以前にブログで少し書きましたが、今回は紙のまちとして知られている四国中央市へ行ってきました。

四国中央市というのは愛媛の東予、香川との県境にあります。
松山からは車で約2時間ほど。

先ずは、紙のまち資料館へ。
ここには紙にまつわる様々な資料が展示されていて、四国中央市の紙の歴史や特徴を知ることができます。もちろん和紙も買うことも。(入館無料)


玄関口に飾られた門松には、こんな素敵な水引が!

そう、四国中央市は水引工芸が盛んな街でもあるのです。


館内には「これが水引なの!?」と驚いてしまうような力作もたくさん展示してあり、かなり見応えがありました。


水引の起源は7世紀頃、遣隋使が隋国から持ち帰った贈り物に掛けられていたのが始まりだそう。

その後、材料が麻から紙に変わりながらも、江戸時代には髪を結うのに使われたり、贈り物に結ぶなどして人々の暮らしとともに歴史を刻んできました。


今のように、ご祝儀袋にかけられたり、結納の飾りとして使われるようになったのは、機械化が進み大量生産が始まった昭和初期からだそうです。


ちなみに、四国中央市が紙のまちと言われているのは、紙製品の出荷高が日本一を誇っているからです。

紙製品というのは、トイレットペーパーやキッチンペーパー、紙コップ、ティッシュなど馴染みが深い日用品から、折り紙やメモ帳、半紙、便箋、はがきなどの文具品まで、多岐に渡ります。最近では専門的な医療用品も作られているのだとか。


解説によると、紙の原料となるコウゾやミツマタが豊富にあったことはもちろん、それらを加工するための機械開発など技術革新への積極的な取り組みが、産業としての発展へ繋がったのだそう。


そして手すき和紙。
四国中央市で作られている和紙は「伊予手すき和紙」といわれています。


時代の移り変わりとともに手漉きを行う工房も減ってしまい、今は3軒のみに。
この日は2軒の工房を見学させていただきました。

写真は、書道用半紙をつくる藤原製作所。


これはビーターと呼ばれる原料を砕く機械。

楕円形の水槽の中に原料と水を入れ、回流させながら砕いていきます。
動き出すと、ゴー!という大きな音がします。


これは、紙すきの作業。

「ふね」と呼ばれる大きな桶に和紙となる材料を入れ、萱ひごを使って編まれた簀桁(すけた)という用具を使って1枚1枚丁寧に漉いていきます。


墨のにじみや筆のすべり具合など、お客さんの要望に合わせた細かな対応ができるのも、ひとつひとつ手作業で行っているからこそ。

しかしそこには、経験の中で培われた技と藤原さんの日々の努力があるのです。


私が工房を訪れたのは1月のとある日。
工房はしんしんと冷え込んでおり、藤原さんの手も冷水作業で真っ赤に腫れ上がっています。


私は、静かだけれど説得力がある藤原さんの後ろ姿を身の引き締まる思いで見つめながら、ある決意をしたのでした。

ひとり地域調査隊はつづく―。


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