日尾八幡神社の笑う狛犬などを紹介した「愛媛の狛犬~その1~」の続編です。
今回は、愛媛南部・宇和島の「和霊神社」の狛犬たちをご紹介します。
地元の方に案内していただき、たまたま訪れたのですが、珍しい狛犬たちを続々発見!まさに狛犬の宝庫でした。
御影石でつくられた(石造りでは日本一と言われる)鳥居をくぐって境内へ。
トップバッターは、和霊神社内にある竈神社(かまどじんじゃ)に鎮座する狛犬。
ギョロっとした目が印象的ですが、インパクトはお顔だけではありません。
なんと…、足が、なーーーーい!! まさかの「胸像狛犬」!
頭上には、ほんのりと「角」らしき面影も。(↑)
元は宝珠のかたちだった「角」が、風化したのかもしれません。
阿吽像どちらにも、足がありません。
そして台座には「大正8年4月吉日」と年月が刻まれています。
足が破損したため胸像にしたのか、最初からこの形だったのかは分かりませんが…、いずれにせよ長い間大切に祀られてきたのでしょう。小さくても、堂々とした風格があります。
これは、鳥居の前(参道)にいた躍動感あふれる狛犬。
珍しいのは、驚くほど頭部が下がっているところです。
狛犬研究家・たくきよしみつさんの著書『狛犬かがみ』によると、このように極端に腰を上げ頭部を下げている形を「出雲型」の身構えタイプと言うのだそう。
前足のところでチビ狛犬と戯れている形はよく見かけますが、こうして後ろ足で思いっきり踏みつけているのを見たのは初めて。強く育って欲しいと願う親心なのでしょうか。
でも踏みつけられて痛そうなチビ狛犬。がんばれー。
本殿前に鎮座していた狛犬は、ブロンズ製で筋肉隆々なスタイル。
靖国神社の門前にいたものと、とても良く似ています。
肉質の艶めかしい感じと、ドレッドヘアーと、勇ましいお顔。
一度見たら忘れられない形です。
ブロンズ製なので、同じ形のものが他の地域にあったとしてもおかしくありません。同じ原型からつくられたブロンズの狛犬探しをしたら面白そう…、なんて妄想しながら鑑賞しました。
こちらは和霊神社内にある三島神社の狛犬。
素朴なかたちがたまりません。
台座には「文政七甲」と刻まれています。江戸時代ですね。
お友達と見つめ合う狛犬さん。(尻尾をふっているように見えます)
この夏も、愛媛・狛犬探訪は続きます。
●和霊神社
愛媛県宇和島市和霊町1451